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yuri    yuri

【ばぁるど】 ヴァルド  [ク]Valdo

(ア) クロアチアのとある村の村外れにおじいさんとふたりで住む少年。10歳ぐらいでしょうか。一年前に両親を疫病で亡くしています。将来はおじいさんのような立派な猟師になりたい。バロンを見て猟犬のようだと言った最初の登場人物。さすが熊撃ち名人の孫。
(2003.1.3)

【ばぁるどのおじいさん】 ヴァルドのおじいさん  [英]grandfather of Valdo [仏]grand-pere de Valdo

(ア) クロアチアのとある村の老猟師。熊撃ち名人。以前から村外れにひとりで住んでいましたが、両親を亡くしたヴァルドを不憫に思い、引き取って育てています。いかつい顔ですが、とてもやさしい。手先も器用で、ペリーヌたちの家馬車の壊れた水樽を直してくれました。ペリーヌはこのやさしいおじいさんとまだ見ぬフランスのおじいさまを重ねて想像してみるのでした。

 村外れに住んでいたのは、ひょっとしてムスリム人だから?

【ぱすかる】 パスカル  [仏]Pascal 

(ア、原) マロクール工場の従業員。小太りのおじさん。アニメでは図面らしきものを小脇に抱えて登場しているので、技師なのかもしれません。人に任せられず、何から何まで自分で掌握していないと気が済まないというビルフランの性格を描写するために登場します。
(2010.10.20)

【ばちかん】 バチカン  [伊]Vatican 

(原) バカチンとは違います。言うまでもなくカトリックの長・神の代理人たる法王のましますところ。まだ達者だったビルフランが「こんな(エドモンマリの)結婚は無効だ!バチカンに行って、なかったことにしてやる!!」と息巻いてましたね。でもこのころのフランスはとっくに世俗の法による婚姻に移行していたはずなんですけど。まあ御前にとっては共和国よりバチカンの権威の方が上ということでしょう。
 ところでそのバチカンが暗に認める聖マラキの予言においては現在のヨハネ・パウロ2世の後には2人しか法王は登場しません。予言によれば法王ごとローマ市は崩壊してしまうらしいのですが、さて、どうなのでしょうか?遅くとも今世紀中にはカトリックの総本山に最後の審判が下されるはずなのですが....
(2003.12.31)

【はな(1)】 花(1)  [英]flower [仏]fleur

(ア) ペリーヌが父エドモンの墓に供える花を摘むシーンから、この物語ははじまります。宿屋の主人曰く「まだ3月だから花を集めるのも大変だったろう」。ボスニアの3月ってどんな気候なのでしょう?調べてみると山岳地帯以外では冬季でも比較的温和なようなので探せば花もあったのかもしれませんね。

【はな(2)】 花(2)  [英]nose [仏]nez

(ア) 水を汲んでいたペリーヌは崖の上に薄紫のきれいな花を見つけました。母マリのためにその花を摘もうとした彼女は、崖を滑り落ちて右足首を捻挫してしまいます。アルプス越えで体力を消耗しているおかあさんを休めるどころか、余計な仕事をさせてしまうことになってしまったのです。そう思ってペリーヌは、自分の軽率な行為を悔やみ、涙を流すのでした。

【はな(3)】 花(3)  [英]end [仏]extremite

(ア,原) シモン爺さんに借りた部屋があまりにも臭いので、ペリーヌはそれを誤魔化すためにシモン荘の敷地内に咲いていた様々な花を摘んできて割れ壺に差しました。つまり消臭剤。アニメではそういう事情はわかりませんが、窓際に飾られた花に気付いたマリは喜んでいましたね。

【はな(4)】 花(4)  [英]nasal mucus [仏]mucus nasal鼻水

(ア) 葬列を歩むうち気を失って倒れたペリーヌが夢の中で摘む紫色の花。花を摘んだペリーヌが御者台に乗るとマリは良い香りがすると喜んでくれました。もし、そのまま家馬車に乗ったままなら、おかあさんといっしょに常世の国へ行ってしまったのかも。剣呑剣呑。

【はな(5)】 花(5)  [英]splendid [仏]splendide華麗

(ア) 野兎を見てバサーク化したバロンが破壊した温室の花。なけなしの5フランで弁償したペリーヌを可愛そうに思った花作りのおっさんが、走って追いかけて来て渡してくれました。その日の晩、ほとんど手持ちが無くなり、夕食は抜きだと沈んでいたところ、偶然この花が売れて空腹のペリーヌに貴重なパンをもたらすことになります。してみると、結構高価な花だったのではないでしょうか。

 19世紀のヨーロッパには各植民地から様々な珍しい植物が掻き集められていて、かなりの園芸ブームだったようです。

【はな(6)】 花(6)  [英]tip [仏]pourboire祝儀

(ア) ルクリおばさんと旅をするペリーヌが悲しい夢の中で摘む紫色の花。花を摘んだペリーヌが振り返ると、家馬車は朽ち果て、お母さんはいなくなっていました。

【はなうらない】 花占い  [英]fower divination [仏]divination de fleur

(原) フランソワーズの下宿に宿をとることにしたオーレリィ(ペリーヌ)は、ロザリーが御馳走してくれた夕食を済ませると散歩に出ました。小高い丘の上でマロクールの家並みを見下ろしながら、明日からの新生活と”なさなくてはならないこと”に不安を感じたペリーヌは、手近にあったヒナギクを摘んで花占いを始めました。その白い花びらの預言は”願いはかなう”でした。

 新訳ではヒナギクではなくてマーガレットになっています。写真で見てみると、品種にもよるのでしょうがヒナギクは小さな花びらが密集して付いている花で、どうやら花占いには不適ですね。マーガレットなら花びらが20枚ぐらいなのでちょうどいいです。ロマンとは無縁のたちの悪いにおいがしますけど。マーガレットは、カナリア諸島原産の花らしいです。ここから想像をたくましくすると、インドからのジュートに付いてきた種が工場の周りで帰化し、野に咲いていたとか。1869年のスエズ運河開通まではインドからの荷は喜望峰をまわっていたでしょうから。

 と思ったら、こういう記述を見つけました。
  「英語やフランス語ではマルゲリータ(マーガレット)はデージー(ヒナギク)をさす」
  「西ヨーロッパ原産であるヒナギクは花弁の数が多く、よく恋占いに使われたことから、イギリスでは《メジャー・オブ・ラブ》と呼ばれた」
んー、よーわからんです。

【ぱりかーる】 パリカール  [仏]Palikare

(ア) ペリーヌたちの家馬車をギリシャからパリまで牽いたタフで賢いロバ。地元の人も無理だというような難所のシンプロン峠も踏破しました。何でも食べますが、水はきれいなものしか飲みません。ワイン大好き。樽一つを一気飲みしてへべれけになり、森へ遁走したこともあります。あざみも好物です。
 パリで路銀が底をついたペリーヌは、しかたなくパリカールを売ることにしますが、それを察したのかパリカールは馬市の入り口で動かなくなり、ついには座り込んでしまって、ペリーヌを途方に暮れさせました。しかし結局、屑屋のルクリおばさんに引き取られたのです。別離の涙を流すペリーヌでしたが、しばらく後のシァンチイの森で、疲労と病気(と暑さと飢えと渇きと絶望)から気を失った彼女を目覚めさせたのは、急を察したバロンが偶然にも探し出したパリカールだったのです。物語の最後には、孫と分かったペリーヌのためにビルフランが買い戻してくれました。

 1978年にサハラの冒険家でもあったティエリー・サビーヌ(フランス)によって創始された世界最大のラリーレイド。って、いや、あのー、ちょっとした出来心で....。

(原) ペリーヌ曰く、ギリシャのロバだからパリカールというのだそうです(何故?)。パリの税関で会った曲馬団の男の子”牛の胃袋”によれば、フランスにはいないようなすばらしい(頑丈そうな?)ロバらしい。バロンの登場しない原作では正真正銘ペリーヌの命の恩人、ていうか恩ロバです。ルクリおばさんが”この小僧もパンが欲しいんだろう”といっているので牡でしょうか?

 ルクリおばさんの「ペリーヌ養女化作戦」の切り札。「パリカールといっしょにいられるよ」。しかも、なかなか効果がありました。

 ”ああ!おじいさま、うれしい不意打ち!”(上意討ちでなくてほんとよかった)。晴れて名乗ることが出来たペリーヌを喜ばそうと、パリカールを買い戻したのはファブリの発案らしいです(ちっ!小賢しいまねを)。

 ”牛の胃袋”にもわからない名前の由来。新訳の訳注によれば、「パリカール」は1821−1828年のギリシャ独立戦争時の義勇兵のことで、”元気な勇ましい男”を意味するギリシャ語「パレカリ」が由来だそうです。家族を無事にマロクールまで運んで欲しいというエドモンの願いが込められているのでしょうね。

【ばろん】 バロン  [英]Baron [仏]Baron

(ア) しょうがない犬。だめな犬。変わった犬。泥棒犬。変な顔の犬。おもしろい顔の犬。EDで歌われている通りの気まぐれな犬で、ペリーヌの大切なお友達(バロンが撃たれたときのペリーヌのバニックぶりは気の毒なほど)。見た目も気まぐれな感じで、全体は黄色、腹と口が白、足先が黒、尻尾の先と耳と右目の回りが焦げ茶というか海老茶色。どうやら猟犬として生まれたか、猟犬としての教育を少しは受けたようです(ブラガ男爵の直感によれば。そういえばヴァルドもそのようなこと言ってましたね)。見た目のちゃらんぽらんさにもかかわらず、猟銃で撃たれても2日で立ち直るくらいタフな犬。

 犬種としてはビーグルではないかという意見が多数。図鑑によればビーグル犬の性格は”独立心旺盛で、気が散ると道を逸れる傾向”とバロンにぴったりです。ビーグル犬は”ハウンド”に分類される猟犬の中では最も小型の犬種だとか。ハウンドとは鋭い嗅覚で獲物を発見し、追い立てるという役割を持った猟犬のことです。ビーグル犬は優れた鼻とけたたましい吠え声が特徴で、特に兎狩り用に特化しているらしいです。バロンが兎を見ると追いかけるのは先祖の血が騒ぐからなのですかね?バロンはフランス原産というハセット・ハウンドにも似ているような気もします。

 見かけによらず結構賢く、マルセルの教えた技(おあずけ、お手、おかわり、とってこい、ちんちん、ちんちん歩き、ごろごろ)もマスターしてこの自称調教師の卵の賞賛を得ています。それに、主人の危機や異変を察知して兎も角何とかしようとはしますし、魚は捕まえるし、死んだ真似をして主人を騙すことさえできます。しかし、うさぎを見ると我を忘れて追いかけてしまうことしばしばで、やっぱり基本的に気まぐれ。ペリーヌの信用も薄く、水樽の漏れを見つけても相手にされず、せっかく任じられた護衛隊長の座も職務怠慢のため解任されてしまいます。劇中ペリーヌやマリさんに結構ボロクソに言われますが、あまり可哀想な気にならないのは何故(笑)
 しかし、ペリーヌにきびしく命ぜられたことには従います。それから、ペリーヌが行き倒れになりかけたときには、方々駆け回ってパリカールを見つけるという殊勲をあげました。また、その忘れがたい容貌は、フィリップ弁護士のパリ調査では最初の重要な手がかりとなったはずです。残念なことに世間一般での『ペリーヌ物語』自体の認知度は低いようですが、原作には登場しないこのバロンの人気はいまだに根強いようです(クレーンゲームなどのキャラクタものとして)。

 長いこと犬を飼っていないので次の2点がわかりません。
 1.バロンは結構食事にパンだけを与えられていましたが、それで大丈夫なものなのでしょうか?犬って肉食でわ?人間はパンのみで生きるものではないらしいが、犬は?
 2.バロンは躊躇無く水の中にじゃぶじゃぶ入っていって、魚さえ捕まえます(そういえば子鹿を捕まえたのも水の中)。犬って普通、水は全然平気なものなの?猫なら普通パニくるのですが。

 バロンって、ペリーヌやマリから結構「ぼこっ」ってげんこつで殴られてますよね(最近のアニメならありえない?)。でも犬小屋を3つも持った幸せな犬(1.家馬車後部 2.下宿 3.ビルフラン屋敷)でもあるのです。

 バロンには「男爵」の他に「大物,大将,よっ!日本一!」と言う意味があるらしいので、あの性格からするとこちらをあらわす名前なんじゃないでしょうか。あとフランスには「バロン」と言う名の小振りなパンがあるそうです。【Ballon】であれば、フランス語で ”気球” という意味ですよ。丸っこい子犬だったのかもね。
(2006.5.28)

【ばろんのしゅっしんち】 バロンの出身地  [英]Baron's birthplace [仏]Le lieu de naissance du Baron

(ア) 何処へ出しても恥ずかしくない駄犬バロンは、一体どこからペリーヌたちと一緒になったのでしょうか。

バルカン説・・・最初のバロンに対する言及”しょうがない犬”は、あまりつき合いが長くはないような印象を受けます。そうだとすると、インドやギリシャではなく、バロンはボスニア出身でしょうか。一方、原作でペリーヌがビルフランに語っているところでは一家は旅の準備を整えるためにしばらくアテネに滞在していたようです。それなら、長旅に連れ出すほど情が移ってしまうには十分な時間があったかもしれません。となるとバロンはギリシャ出身ということになるかも。

インド説(1)・・・名前そのまま”男爵”からもらった犬ということも考えられます。一家が男爵のような身分の人と親しくつき合えるとするとインド時代しかないので、バロンはインド生まれということになります。しかし、親しい男爵からもらった犬に”男爵”と名付けるでしょうか?それに元男爵の犬にしては駄犬過ぎませんか?では”自称男爵”ではどうでしょう。例えば...
 『一家は難儀していた人物を助けた。みすぼらしい姿をしているが彼は自称男爵だという。その人はお礼をしたいと言ったがボロの服以外何も持ち合わせていなかった。自分の連れていた(あるいはたまたま通りかかった)胡散臭い犬を手渡し、”私の気持ちだ”と言って立ち去った』
...てのはどう?(どうと言われてもねぇ)

インド説(2)・・・『インドに放逐されるときエドモンはお気に入りの猟犬を連れていきました。猟犬は立派な子供をたくさん産みましたが、エドモンが破産したとき、ほとんどの犬は売り払われてしまいました。しかし、猟犬としてはぱっとしなかった一匹だけが一家の手元に残っていたのです』
...てのはどう?(いや、だから、どうと言われても)

インド説(3)・・・もしバロンがビーグルの血をひいているのなら、当然ながらビーグル犬のいる環境が必要です。イギリス原産の狩猟犬がたくさんいる...。マリのお父さんスチーブンソンさんは、マリさんの様子を見る限りは裕福であったと考えてもよいようです。富裕層の優雅な?愉しみ=狩猟を好んだのかも知れません。その一番しょーもない血統がカレー犬(笑)バロンで、そもそもマリさん側の持ち物だったので、手元に残った...とか。

その他・・・名前からしてバリ島出身だから、なんて言い出したら、張り倒されます? 
(2003.11 9)

【ぱんだぼわぬしょうげきじょう】 パンダボワヌ小劇場  [英]Paindavoine theater [仏]Paindavoine theatre

( ) 駄洒落コーナーです。見ると後悔するでしょう。それでも、恐いものが見たい人はこちら。

【ぱんや】 パン屋  [英]baker [仏]boulanger

(ア、原) 宿屋に次いで(多分)3番目に登場回数の多い職業。たちの悪い一名を除いてすべて無名の市井の人々。おいしい柔らかいパンも、日が経ってナイフが通らない程堅いパンも、道に落としたパンも売っています。ただ『ペリーヌ物語』には、ペーターのおばあさんが好きな白パンみたいなおいしそうなパンはあまり登場しません。特にパリ・マロクール間の一人旅の間は、ペリーヌは日切れ品の堅いパンしか食べられずとても可愛そうでした。

 ペリーヌは一人旅の間も食事の時には膝の上にハンカチを広げてパンを食べていました。このあたりが後にロザリーたちを驚かせた育ちの良さでしょうか。ペリーヌと同じぐらいの年の頃、給食のパンを握りつぶして「ほーら、一口で食べられる」と自慢していた私に比べると月とすっぽん雲泥の差です。

【ひ】 火  [英]fire [仏]feu

(ア、原) OP見るたび思っていたのですが、ペリーヌって火をどうやって点けていたのでしょうか?アニメ原作いずれの時代でもすでに安全マッチ(西部劇で見かける何処でも火がつく黄リン・硫化リンマッチではなくて、箱に点火薬の付いた私たちが普通に連想するマッチ=赤リンマッチ。1855年に量産化されたそうです。)が普及していたので、多分それを使っていたのですかね。ルクリおばさんも使ってましたし。
 旅してる間は、マッチに加えて(火打ち石使ってるシーンは記憶にないので)種火を運んだりもしたのでしょう。マッチもただではないですし、人家から遠いところも通ってましたから。マリさんがお産婆さんする話での農家では置き火がありましたね。
(2002.10.6)

【ぴえとろ】 ピエトロ  [伊]Pietro

(ア) ピエトロ・ファンファーニ。”世界一の写真師”で、ペリーヌたちと同じく馬車で旅の写真興行をしつつミラノに向かっていました。相方のロッコは口上師。ペリーヌ母娘と鉢合わせし、商売敵となってしまいます。しかし彼の撮影した写真は少々(というかカナ〜リ)ピントが甘く、写真の腕はマリに一歩譲るようです。ロッコに比べれば常識的で、反り返った口ひげがわびしげなやさしい男。

【びぃえんな・ぱん】 ヴィエンナ・パン  [英]viennese bread [仏]pain viennois

(原) マリの細い食欲を励まそうとペリーヌが買ってきた小さなパン。マリはこのパンのやっと半分を食べてくれました。

 ”ウィーン風のパン”ということなので、トルコ軍撃退を記念して作られたというクロワッサンでしょうか?あるいはマリー・アントワネットが食べれば?と言ったというブリオッシュのこと?それともそういう種類のパンがあるのでしょうか。ウィーンといえば何となくチョコレートなので、チョコレート入りデニッシュ?

 新訳では「菓子パン」になってます。上に上げたうちではクロワッサン以外は菓子パンと言えますが...はて?

 関係ありませんが、マリー・アントワネットが食べれば?と言ったというのはクグロフだという話もあります。

【ぴかるでぃ】 ピカルディ  [仏]Picardie

(原) 物語の舞台マロクールがあるフランス北部地方の名。中心都市はアミアン。西にイギリス海峡を望み、ソム川流域にゆるやかな丘陵地帯がつづいています。そもそも南下してきたフランク族が最初に建国したという由緒正しい土地柄。その土地は肥沃で小麦、ジャガイモ、野菜のほか亜麻などの栽培がおこなわれています。海に近いせいかほんのり塩味のする羊肉や川沿いらしくウナギが名物だとか。毛・麻織物産業が盛んで、19世紀には物語よろしくフランス産業革命の中心地でした。第一次世界大戦の激戦地でもあります(ピカルディー会戦)。この地方出身の有名人には『三銃士』や『巌窟王(モンテ・クリスト伯)』などで有名なアレクサンドル・デュマがいます。また、出身ではありませんがSFの父ジュール・ベルヌもこの地に長く住んだそうで、同時代人のマロはベルヌにこの地に関しての意見を求めたそうです。

 ピカルディ人の気質は粘着質で、悪くいえば執念深いようです。歌うように長く発音をのばすのんびりとした方言があるらしく、エドモンペリーヌを面白がらせるためによくその真似をしたそうです。マターリ、とかタイーホとか?(違)
(2003.6.29)

【ぴきに】 ピキニ  [仏]Picquigny

(ア) マロクールに最も近い鉄道の駅がある町。マロクールよりはインフラが整備されているようです。池があってボートが漕げる憩いの広場、ピキニ公園や、重傷患者の処置ができる大きな病院があります。

(原) ルクリおばさんは、アミアンの近くまで行くという友達の卵屋にペリーヌをアイイまで送るように頼んでくれました。ペリーヌはそこから汽車に乗り、ピキニに着いたのです。ピキニにはロザリーのおばさんがいて、彼女はよくお使いに行かされていたようです。

マロクールとは違ってピキニはアミアンの北西約20kmに実在する町です。

【びょういん(1)】 病院(1)   [英]hospital  [仏]hôpital

(ア) ルクリおばさんに助けられたペリーヌは、近くの町の病院で治療を受けました。治療と言っても、画面では食事ぐらいでしたけどね(笑)。もしかしたら病院ではなくて、貧民救済施設みたいなものだったのかもしれません。病院にしてはも出入り自由みたいだったし(笑)。

 ちなみに原作ではペリーヌは病院に担ぎ込まれたりはしませんでした。ルクリおばさんにもらったパンと水を鱈腹詰め込んだら治ってしまったからです。原作ペリーヌつえー(笑)。
(2010.10.13)

【びょういん(2)】 病院(2)   [英]hospital  [仏]hôpital

(ア) 肺炎に苦しむベンデットをピキニの病院に入院させるために奔走するファブリに、オーレリィ(ペリーヌ)は馬車の御者をかってでます。急なことで御者の都合がつかなかったからです。無事搬送を終えたペリーヌは、ピキニの町で思いがけなくルクリおばさんパリカールと再開します。親しげに話す二人の会話を耳にしたファブリは、オーレリィが「ペリーヌ」と呼ばれていることに気がついたのでした。

 しかし、マロクールはフランスでも有数の工業都市(?)だというのに、入院看護が出来る病院がないというのは問題ですね。ヨーロッパでは19世紀には今で言うところの総合病院のたぐいが地方都市にまで出来ていたという話ですからね。
(2010.10.13)

【ひらいしん】 避雷針   [英]lightning rod  [仏]paratonnerre

(原) マロクールを見下ろすように立つビルフラン邸には、屋根に何本ものポールが立っています。無線実用化前ですから、さすがにアンテナではないでしょう(笑)。旗竿でもなさそうです。フランクリンが避雷針を発明したのは1749年ですから、あれは避雷針か避雷針的なものだと思われます。間近で落雷に遭遇した経験のあるペリーヌにとっては心強く感じたかもしれませんね。
(2010.10.13)

【びるふらん】 ビルフラン  [仏]Vulfran

(ア、原) ビルフラン・パンダボアヌ。フランス1,2を誇る大企業と1億フランを超えるという資産(ビルフラン・パンダボアヌの項の3と同じ計算をすると100兆円!!!マロクールまるごと100こ、つくれまっせ。今をときめくビル・ゲイツの資産は5〜8兆円らしいので、少なくとも10倍以上の大金持ち!)を一代で築き上げた立志伝中の人物。オーレリィ(ペリーヌ)のおじいさま。原作では65歳(最後の方で66歳の誕生日を迎えます。誕生日は9月か10月。でもアニメでは春なんですけどね。)。人にも自分にも厳しく、工員たちはもちろん、タルエルやふたりの甥たちにも恐れられています。かつて諍いから一人息子エドモンを放逐したことを悔いており、年老いて5年前に視力も失った今は、ただひたすら彼の帰りを待ちわびています。一方で息子と決定的に仲違いした原因である息子の嫁つまりペリーヌの母マリを憎んでいます。孫については”子供?出来てしまったものは仕方がない”とまるで関心がありません。原作では、”娘とその母親が嫌い”とはっきり言っていますね。

 例年冬季に発作を起こす喘息持ち(これは当時の繊維産業の粉塵の多い作業環境が原因である可能性があります)。手術中に発作を起こす可能性があるので、失明の原因である白内障の処置が出来ないでいます。基本的に他人を信用することが出来ず、結局自分がすべてに関わらないと気が済みません。”おまえは自分の望むように物事を解釈する”、と姉のプルトヌー夫人に意見されたこともあります。読書?は旅行記、特にインドものを好みます。後にあやしい娘オーレリィ(ペリーヌ)に精神を乗っ取られ、言うがままになってしまいます。インドの秘薬を盛られたともっぱらの噂(嘘)。

 エドモンの訃報を知った衝撃からなんとか立ち直りかけたビルフランでしたが、寒い朝に出社しようとして屋敷から一歩出たところで倒れてしまいます。このときすごーく危険な倒れ方してますね。脳に障害が現れなくて非常に幸いでした。この場面で少し離れた御者台にいたペリーヌが由緒正しく「まあ、大変!」のポーズをしてから駆けつけるのがステキです。

 ところでフランスの地図を見ているとフランス中東部の都市リヨンの近くにビルフランシュ(Vllefranche)と言う町がありました。御前と何か縁があるのでしょうか?

 前史IIでふれているようにビルフランと言う名は聖ビルフランから来ているのかも知れません(誕生日も近いし)。だとすると彼の聖遺骸がある教会がアミアンの北西約50kmの都市アブビル(Abbeville)にあるので、そのあたりがビルフランの出身地なのかも知れませんね。

【びるふらんのみたゆめ】 ビルフランの見た夢  [英]Vulfran's dream [仏]reve de Vulfran

(ア) エドモンの死を知ったショックから病に倒れたビルフランが病床で見た夢。寝ずの看病をしてくれたオーレリィ(ペリーヌ)に話して聞かせます。ビルフランは幼いエドモンに手を引かれて歩いていました。どんどん歩いていくと、いつの間にか手を引いているのはオーレリィになっていたのです。
 この場面では夢の描写はなくて、病床のビルフランがたんたんと話す画面だけなのですが、「せめて夢の中でお前の顔が見たかったよ」と言うビルフランに老いの悲しみが感じられてしみじみと良いシーンです。

【びるふらん・ぱんだぼわぬ】 ビルフラン・パンダボアヌ  [英]Vulfran Paindavoine & Co. [仏]Vulfran Paindavoine et Co.

(原) フランスに入って以来、ペリーヌはあちこちでこの名を目にします。ある時は馬車の幌に、ある時は酒樽に掛けた布に。母マリに問うた答えは”何も不思議なことはないわ”。そう、それはフランス随一の大企業の名、そして、まだ見ぬペリーヌのおじいさまの名だったのです。

 はっきりとは書いてないような気がしますが、ビルフランの会社の名前は”ビルフラン・パンダボアヌ”でしょう(”ルイ・ヴィトン”のように)。35年前、名もない織物商がマロクールの古ぼけた製糸工場を借りました。土地の人が嘲笑するのも構わず働き詰めに働いた彼の工場は、最初は少しずつ、次第に唸りをあげて発展・拡大を続けました。そしてとうとう年に1200萬圓以上の利益を上げるまでになったのです(20世紀を通して日本の物価は約5千倍になったそうです。これで計算すると、だいたい600億円ぐらいになります)。

 新訳では、ビルフラン・パンダボアヌ社の利益はただ単に1200万になってます。つまり1200万フランですね。これはいくらぐらいなのでしょう?
 1.ペリーヌの食費から計算...ペリーヌのの畔生活での食費は1日4スーつまり0.2フランです。4スーを1000円とするとビルフラン・パンダボアヌ社の利益は600億円、500円とすると300億円になります。
 2.金の法定価格から計算...1878年に通貨と金のレートが決められたそうで、1フランは金約0.29gとされました。ここから計算すると(金価格1000円/gと仮定)ビルフラン・パンダボアヌ社の利益は約35億円になります。ちと少ないですね。
 3.物価上昇から計算...フランスの物価上昇を日本と同じ5千倍とすると(かなり強引)ビルフラン・パンダボアヌ社の利益は1兆2千億円になります。いい感じですね。(1フラン=20円と仮定)
 4.製造業第1位企業として計算...当時のフランスと現在の日本の世界経済における規模が同じくらいと仮定して(いわゆる無茶苦茶)ビルフラン・パンダボアヌ社の利益を想像します。日本の製造業No.1はトヨタ自動車です。トヨタ単体の利益はおよそ1兆2千億円です(?)連結では約2兆円!

 タルエルが秘書の小娘を突き倒したくなるのがよーくわかりました。ベ、ペリーヌさま。私をしもべにして下さい。

【ひろいん】 ヒロイン  [英]heroine [仏]heroine

(ア) 強い習慣性と耽溺性を持つケシから抽出・精製されるアルカロイド...ではないですよね、勿論(長すぎるボケ)。普通ヒロインというと a.女性の主人公 b.男性の主人公に物語上もっとも深く関わる女性 という2つの意味がありますが、ここではaの意味です。なにしろ世界名作劇場では2/3が女主人公ですからねえ。この項では名劇ヒロインに関する雑感を書きます。

1.肉親に恵まれない...これは何もルーシーを皮肉っているわけではなくて(笑)両親が身近にいないということです。両親もしくは片親が死亡していたり、健在でも遠くにいるとか所在不明であるとか、まるでファイナルファンタジー・シリーズの主人公のようです。これは多分に19世紀頃という時代的な背景が影響を与えているのでしょう。
 i.戦争の多発
 ii.医療・社会衛生環境の不足
 iii.貧困と宗教の影響(結婚へのハードルが高い一方で、避妊への理解に乏しい。)
いまリメイクされたとしたら
 iv.両親は離婚 
なんて設定になるのかも。

2.やたらとしっかり者...こんな子いないよねえ、なんて声が聞こえてきそうです。いえいえ。あなたはそうではないのかも知れませんが(藁)そういう子供はいますとも。たとえばブッシュの戦場となった地域の子供たちを見てみれば、今そこに世界名作劇場の主人公たちが賢明に生きていることがわかるでしょう。生死が身近にある環境ではしっかり者にならざるを得ないのかも知れませんね。
(2003.5.10)

【ふぁぶり】 ファブリ  [仏]Fabri? Fabry?

(ア) マロクール工場の機械技師。ビルフランの信頼も厚く、またマロクール工場の”英語の出来る3人衆”のひとりでもあります。イギリスへの出張も多く、それがそもそもオーレリィ(ペリーヌ)をビルフランに近づけさせる第一歩となりました。20代前半?自称釣り名人ですが、その腕はサバイバリストの小娘に敵いません。ナレーション曰く”男らしく、優しいファブリさん”。しかし、工場で働く少女の住む小屋のすぐそばので服を着たまま泳いだり、”あんな娘に秘書なんか務まるものか”と愚痴るテオドールにムキになって反論したり、仕事中に新任秘書の新しい服をわざわざチェックしに来たりと不審な行動が目立ちます。

 ベンディットさんと同じ下宿に住み(ちなみにこの下宿の女主人は犬が大嫌いだとか)、同じくシャモニーの常連。ベンディットさんが肺炎になったとき、病院へ彼を搬送する馬車の御者をペリーヌに頼んだことから、彼女の秘密を知る唯一の人となります。以来、ペリーヌの心の支えとなり、いろいろと力になってくれたりしました。

 ピキニ公園での会話で”あんな工場なんかどうでもいいんです。あたしが欲しいのはおじいさまの心からの愛情です”というペリーヌの言葉に、こりゃ一本取られたねという表情がナイス。この場面でもそうですが、ファブリさんがペリーヌによく掛ける言葉は「君は変わってるなあ」。私に言わせればあんたこそ変わってます。もっと同世代の女の子とつき合わなければいけませんね。そんなことでは来るべき20世紀後半では変態犯罪者扱いされますよ。

(原) ペリーヌはその秘密を人に打ち明けたり、悟られたりしなかったので、ファブリさんの活躍の場は少ないです。アニメと違ってトロッコ押しの少女に興味などなかったし、逆にペリーヌがビルフランの精神を自由に操ることができるようになってからは、”あなたはどこそこに視察に行くのですよ”と顎でコキ使われるていたらく。マロクールの社会資本が乏しいとペリーヌに指摘したのも別な人(ベローム嬢)。しかし、パリカールを買い取ることを提案したのは彼ですし、ビルフランの命によりペリーヌの素性を探り出したのも原作ではファブリさんなのです。ペリーヌも”ファブリたちの友情がありがたかった”と言っています。とはいえベンディットさんより存在感が薄いのはいかんともしがたいですね。
あ、そういえば例の火事のときはマロクールの消防隊で鉄兜をかぶって奮戦していました。

 原作ではベンディットさんやモンブルーと同じくフランソワーズ社員寮の店子。つまりペリーヌとは御近所さん(?)なのです。アニメでこのような設定にならなかったのは幸いでした。いや、剣呑剣呑。

【ふぃりっぷ】 フィリップ  [仏]Philippe

(ア) ビルフランの顧問弁護士ですが、やってることは探偵以外の何ものでもないです。当初エドモン探索を一任されており、そのために遠くインドにまで赴きました。結局、賞金付き新聞広告によって、それもヨーロッパで確実な情報を得られたのだからくたびれ儲けかも。その後、謎の娘オーレリィ(ペリーヌ)の身元調査を命ぜられます。フィリップ先生最後の調査(なんか小説のタイトルみたい)がニクイですね。エドモンの時は素っ気なかったのに、この時はもらい泣きしてました。調査が意外に早く終わってすごくうれしかったのかも。彼には”髭の一部が作り物疑惑”があります。

 笑うなと言われれば、余計におかしくなるものですよね、先生?

 このシブいおじさんは、残念ながら原作には登場しません。エドモン死亡の報を知らせるのは、アミアンの銀行家ですし、オーレリィの素性を調査したのはファブリさんなのです。

 パリじゅうを駆けめぐったというフィリップ先生の調査はどんなものだったのでしょうか?
 1.パリから調査をはじめた場合...オーレリィの母親が亡くなった時期がわかっていますから、まず死亡届を捜したのでしょう。で、同じぐらいの年齢の女性にしぼって、その土地にいってオーレリィと同じくらいの娘がいたかどうかを確認します。バロンの存在がポイントですね。...とある汚い安宿酔いどれじいさんと話すうちに、もっともオーレリィの話と合致する亡くなった婦人の娘の名が、しかし『ペリーヌ』だということがわかります。オーレリィ=ペリーヌであることを確定するために、フィリップ先生はじいさんに聞いた最後にその娘にあったという屑屋のおばさんを訪ねるのでした...。
 2.マロクール近郊から調査をはじめた場合...オーレリィがやって来た時期とおおよその道筋がわかっていますから、足取りを逆にパリへと辿ることになります。すると屑屋の婦人はオーレリィのことを娘であると言っていたことがわかります。”やれやれビルフラン様も老いたものだ、やはり私の言った通りじゃないか”などとこぼしつつ、それでも確認を取るためにその屑屋の婦人ラ・ルクリをパリに訪ねるコンチネンタル・オプじゃないフィリップ先生。するとルクリおばさんは意外なことを口にするのでした(「薔薇の蕾...」とかね(笑))...。
2.だとパリじゅうを歩かなくても良いので1.ですかね。

【ふぃるです】 フィルデス  [仏]Phildah?

(ア、原) インド・ダッカの神父。フィリップ弁護士の要請によりエドモンの消息を知らせる手紙を書きました。ただし、彼にはエドモンとの直接の面識はなく、またたまたま旅行中だったためフィリップ弁護士とも会いませんでした。字が下手+悪文。彼の手紙によりオーレリィ(ペリーヌ)は大企業の後継者をめぐる情報戦の渦中に放り込まれました(ちと大げさか)。

 手紙にはエドモンの妻マリについて好意的に書かれていたましが、それによりかえってマリに対する憎しみが予想通り、いやそれ以上に強いことが直接ビルフランの口から聞かされ、加えて孫つまりペリーヌには何の関心も持たないことがはっきりしてしまいました。ペリーヌは深く傷つけられ、自分が孫であるとは名乗り出るまいと思うのでした。とは言え、原作では結構食い下がって、ビルフランの不興をかってしまうほどでした。

(原) ビルフランがエドモンについて照会したのは当地のルクレール神父でしたが、彼が亡くなったためフィルデス神父が手紙を送ったのでした。
 新訳では”フィルズ神父”になってますね。
(2010.10.13)

【ふぇりっくす】 フェリックス  [仏]Pelix

(ア、原) ビルフラン邸の御者。ペンキ塗りが得意だそうです。赤が好き。ルイと”オーレリィ(ペリーヌ)の関心争奪戦”を繰り広げている模様。どうやら彼のほうが分がいいようです。

【ぶーそばちゃ】 ブーソヴァチャ  [波斯]Busovača

(ア、原) サラエヴォから北西に50kmほどのところにあるボスニアの村。ここでエドモンが亡くなりました。ここからペリーヌマリの苦しい旅が始まったのです。
 原作によれば、ブーソヴァチャには医者らしい医者はおらず、エドモンを治療したのはまじない師みたいな人だったようです。

 さて。ペリーヌたちはここからどんなふうなルートでトリエステに至ったのでしょうか。

より大きな地図で サラエヴォからトリエステ を表示

 考えられるのは
1.西進して海岸沿いを北上するルート
2.このまま北西に突っ切るルート
3.北上してボスニア北部山岳地帯を迂回するルート
の3つです。

1.ですが、そのルートだとサラエヴォからすぐに西進しなかった理由がわかりません。
2.も可能なことは可能ですが、ビルフランじゃないけど妻子を連れて家馬車で移動するにはなかなか困難だと思われます。チベットの山々を見ながら長年過ごしたエドモンは、バルカンの山々を舐めてかかっていたんじゃないでしょうか(笑)。
3.の場合だと、若干遠回りになるものの、そのかわり平地が多くなるので、負担はかえって減るんじゃないかと思います。トラブニクの西のヤイツェから北上、バニャルカを経由してボスナ川のつくる平野に出、そこから北西に進んでザグレブ - リュブリャナ - トリエステ、てな感じで。

 エドモンはトラブニクを目指していたようですが、ちょうどその前に死んだことだし(笑)、西のトラブニクへ向かわず、すぐに北上してゼニツァ経由でボスナ川に突き当たって、あとは西進してザグレブを目指すのがオススメだなあ。

 アニメ11話冒頭の地図ではどうやら2の強行突破作戦でいったようです。アニメの設定・1870年代のボスニアは騒乱が吹き荒れていたようなので、それらを避けるためあえて急峻なルートを取った、という考え方もできるかも。
(2010.10.17)

【ぶのあ】 ブノア  [仏]Benoit

(ア) ビルフラン・パンダボワヌ社サン・ピポア工場の工場長。初登場でいきなりビルフランに厳しく叱責されているかわいそうな人。新型機関ロコモービル設置の遅延を責められていました。通訳が次々といなくなって、さぞ胃を痛めたことでしょう。丸っこい体型のせいか、人が良さそうに見えます。

(原) タルエルと違って野心はないか、少なくともあからさまではありません。そのせいかビルフランとの会話も、この気難しい創業者がタルエルに対するときのように警戒していないことが分かります。ちなみにオーレリィ(ペリーヌ)がボロを着ていると指摘したのは、原作ではこの人。

【ぶらがだんしゃく】 ブラガ男爵  [伊]Baron Braga?(Blaga?)

(ア) ミラノ近郊に広大な領地を持つ裕福な男爵。貴族らしく狩猟が趣味。バロンを使って彼の獲物を横取りしたとペリーヌたちを責めます。が、マリ登場で誤解はたちまち氷解してしまいました。やはり美人は得です。

【ふらん】 フラン  [仏]franc

(ア、原) 12集めると最終回で昇天します。フランスの貨幣単位。フランス革命で定められました。ベルギーとかスイスでも使われていましたが、これはかつてフランを基軸通貨としようとした名残。物語上はだいたい5000円くらい?
 また、フランスでは”タルト”のことをフランとも呼ぶそうです。
(2002.9.22)

【ふらんそわーず】 フランソワーズ  [仏]Francoise

(ア) ロザリーの祖母。息子セザール食堂の手伝いをしています。老境に入ってますます気難しくなったビルフランが心を許せる数少ない人。最初にペリーヌに会ったとき大いに驚きました。その様子を見て怪訝に思ったペリーヌでしたが、彼女の名前を聞いて今度は自分が驚く番でした。フランソワーズ。それは父によく聞かされた優しい乳母の名前だったからです。

 フランソワーズが驚いたのは、ペリーヌが幼い頃のエドモンによく似ていたからでしたが、老齢のためか、悲しいかなこの時にそれは思い出せませんでした(ようやく思い出したのはエドモンの葬儀のとき)。しかし、息子の死を知って衰えたビルフランを励まそうと、フランソワーズがこの話をしたことが”幸せの涙”に続く扉を開くことになりました。ペリーヌからのクリスマスプレゼントはショール。気のせいか一番安っぽいみたいです。

(原) エドモンの乳母をしていたというコネを生かして、マロクールの人々がビルフランに対する様々な要望を託す窓口になっています。ただし、それが許可されるかどうかは保証されません。屋敷を下がった後に始めた下宿屋と雑貨屋を営んでいますが、この女工用部屋が最初オーレリィ(ペリーヌ)が泊まって窒息しかけた”悪臭宿”です。ペリーヌが秘書となった後借りたのも、やはりここのもっとグレードの高い部屋でした。夫婦(ロザリーの叔父叔母)に仕事を手伝わせています。

【ぶるとぬーふじん】 ブルトヌー夫人  [仏]Mme. Bretonneux

(ア) ビルフランの姉でテオドールの母。思ったことをずばずば言うたちですが、特に悪意があるわけではありません。焦りを感じたテオドールの要請により出陣。ビルフランの心を掴んでいるらしいオーレリィ(ペリーヌ)を味方に付けようとしました。にぎやかなことが好きで、年に一度くらいビルフラン邸を訪れるときには決まって晩餐会が開かれます。個人的には帰りの汽車の中で「もしかしたら...いや、まさかね」という一言がこの人にも欲しかったです。だってフランソワーズよりも頭がシャッキリしてそうだし、そろいも揃って坊ちゃんの顔を思い出せないつーのは....。あ、もしかして、エドモンは母親似で、プルトヌー夫人は母親すなわちビルフランの妻とそりが合わず、あまり顔をあわせなかったので、オーレリィの顔を見てもピンとこなかった、てのはどう?
 原作によればプルトヌー夫人の住まいは、ビルフランの姉だとすればドーバー海峡を北にのぞむブーローニュ、テオドールの母だとするとパリだということになります。

(原) ビルフランの姉。カジミールの母。他に娘が二人いるようです。ベローム先生の忠告により後継者問題については中立を保つため、ブルトヌー夫人の前では馬鹿のふりをするペリーヌ。衣装をけなされてむっとしたりもしましたが、取りあえず事なきを得ました。ペリーヌは夫人との会話で、ビルフランの健康を維持するためには細々とした心配りが必要だと気付かされ、早速実行し始めました。
(2004.2.29)

【ぶるむ】 ブルム  [仏]Bulm

(ア) ビルフランの目の手術をする為にリション医師がパリから呼び寄せた医者。リションの見立てでは成功確率40%の手術(ビルフランの持病の気管支炎の発作が手術中に起こったら危険でした)を見事成功させます。

(原) (全身?)麻酔を奨める医者にビルフランは、手術中ペリーヌに手をしっかりと握っていてもらう方が良いと断りました。その方が手術に耐えられると。ところで、ビルフランの眼病は二重の白内障でした。二重って何?→新訳では「重症の白内障」になっていますね。

【ふろりん】 フロリン  [独?]florin”フロリン”は欧州各地の各時代で通貨として使用されています。本来、何語?

(原) オーストリア・ハンガリー帝国の貨幣単位。約2フランペリーヌ薬屋で使おうとしたが受け取ってくれませんでした。贋金と思ったか、両替が面倒だったか、それとも当時オーストリア・ハンガリー帝国自体に信用がなくなっていたのでしょうか。

 当時フランはヨーロッパの基軸通貨として流通していたようなので、薬屋はわざわざ信用の劣る通貨を扱いたくなかったのでしょう。
(2002.9.7)

【ぺりおれ】 ペリオレ  [仏?]Perriauré?

(ア) ペリーヌマロクールで暮らすにあたってオーレリィと名乗ることにしました。素性が明らかになってビルフランに拒絶されることを恐れたからです。でも、さすがのペリーヌもすぐには偽名に慣れません。オヌーに名前を聞かれたペリーヌは、うっかり「ペリーヌ」と言いかけて慌てて「オーレリィ」と言い直しました。戸惑ったオヌーじいさんは「ペリオレ?何だって?」と聞き直していました。
 それ以外にも、ロザリーに「オーレリィ」と呼びかけられても自分のことだと気づかなかったこともありましたね。
(2010.10.13)

【ぺりーぬ】 ペリーヌ  [仏]Perrine

(ア) ペリーヌ・パンダボアヌ。『ペリーヌ物語』の主人公。バロンの御主人様。オーレリィはマロクールで彼女が名乗った偽名。エドモンマリの間に東インドのダッカに生まれました。13歳。マリの言葉によればインド人の血が(たぶん)1/4以下流れています。深い色の金髪(リンドのおばさんの言う『金褐色』ってやつ?)に、やや灰味を帯びた碧眼を持ち、澄んで張りのある良い声をした女の子。死の天使に似ていますが、羽は生えていません(笑)。ひどく疲れたときには天国のおかあさんと霊界通信が出来ます。年のわりにはとてもしっかりしていますが、これは母親がみょーに若すぎたせいかもしれませんね。頭がよく、やさしくそして誇り高いという、まるで世界名作劇場のヒロインのような少女です。ベンディットさんの病気や”テオドール財布紛失事件”では義に厚いところも発揮しています。マリと旅をしていた頃は、元気で明るい子供らしさにあふれていましたが、母を失い、自身も死にかけ、祖父の寂しい境遇を知った後には、控えめと言ってもいいような思慮深さを身につけました。そして、それらの素直な性格と才能のすべてを尽くして、頑なになったビルフランの心からの愛を得るために献身します。それは我が身をなげうってまで娘をマロクールに導こうとした母マリの最後の言葉と自身の誇りを掛けた戦いのようなものだったのかも知れません。

 原作に比べると、より繊細で叙情的に描かれており、それは湿度の高い日本でアニメ化された影響かもしれません。もちろん私は、こちらのペリーヌのほうが素敵だと思います。

(原) 怪しげなボロの女、あばずれ娘、喜望島の女王さま。琥珀色の肌と金髪、切れ長の黒い目をしたフランス人とインド人のハーフの少女。馬鹿の真似が上手。描写をそのまま抜き出すと「利口そうな優しみ...繊細で同時に神経質...凛々しい物腰」。性格はアニメよりかなりクール、悪く言えば計算高い。それはそれだけ辛い目に遭ってきたと言うことでしょう。秘書になった後、下宿の食堂で食事を取りながら、情報収集のためにファブリモンブルーの会話に耳をそばだてている場面が印象的。

 ビルフランが共感したからパンダボワヌ一族の特性なのかも知れませんし、母マリの最後の願いでもあります。ペリーヌは人に頼ることを好まず、可能な限り自分で道を切り開こうとします。それはでの生活はもちろん、パリからマロクールへの旅や、結局最後まで自分からは孫であるとは名乗りでなかったことにも現れている気がします。”誇りを失うくらいなら飢え死にした方がまし”という強力なプライドが、彼女をどんな困難に対しても毅然として立ち向かわせるでしょう。OPで歌われる”おまえを見守る星”とはこのことなのかもしれませんね。

 ペリーヌは結局最後まで自分からは孫であるとは名乗りでませんでした。というか、その必要はほとんどありませんでした。既に彼女は勝利を収めており、”認知”以外の得られるものはすべて手にしたも同然だったからです。もし、ファブリさんの手違いでオーレリィが孫娘であるという確証が得られなかったとしても、ビルフランはペリーヌを養女にするくらいのことはしたと思います。

 美貌と良い性格で頭脳明晰手先も器用、莫大な資産に加えてついにおじいさまの愛も得たペリーヌ。東洋の中世の貴族のように”満月には欠けたところがない”と歌いたくなるところですが、私は彼女に一つの欠点を見つけたよ、あははのは。ペリーヌは綴り字(フランス語)が下手なのです。本人曰く、”学校に行く機会がなかったから”。エドモン一生の不覚ですね。ベローム先生は”練習すれば大丈夫”と言っていますが、ふっふっふ、それはどうですかね。古代文字・宇宙文字と言われてン十年の私が断言しましょう。ペリーヌは一生、字が下手なままである!ババーン!(夕日を背景にとぼとぼ歩くペリーヌ。「少女の夢」が流れる)
 などと天狗になっていると(何故天狗に…)、esaki-iさんから”メイヨー”という御指摘が。あらためて新訳を見てみると”綴り字法に自信がない”との記述。つまり、ペリーヌはフランス語の文法に自信がない、と言っているのです。字が下手なのではなくて。ええぇ〜っ!旧訳は”綴り字”だったのにぃ。嗚呼、吾とぺるりぃねとの唯一無二の共通点は幻であったといふのであろうか。(なっかり↓)
(2002.10.13)

【ぺりーぬがろーるぷれいんぐげーむのとうじょうじんぶつならどんなきゃらくたーか】 ペリーヌがRPGの登場人物ならどんなキャラクターか
     
[英]What kind of person does it become if Perrine is characters of role-playing game? [仏]Quel genre de personne devient-elle si Perrine est personnages du jeux de rôles jouent?

( ) 我らのペリーヌが、もしRPGに登場したらどんなキャラクターになるでしょうか?妄想してみました。

職業    :野伏、レンジャー。実は高貴な生まれというバックストーリーもばっちり。
HP     :普通。ただし「つよさ」が大きいので、物理ダメージによるHP消耗率が小さい。毒、麻痺などの特殊攻撃にも抵抗力がある。
MP     :少ない。ただし「かしこさ」が大きいので、魔法ダメージによるHP消耗率が小さい。精神攻撃にも抵抗力がある。
攻撃力   :低め。威力のある武器が装備できないし、「ちから」も普通。
防御力   :低め。金属製や重い防具が装備できない。しかし、それを補って余りある回避率の高さがある。
すばやさ  :高い。「うん」も高いので回避率が非常に高い。
うん     :非常に高い。クリティカルヒットを出し易く、かつ受けにくい。
みりょく   :非常に低い(笑)。「うん」も高いので攻撃対象になりにくい。
武器    :ナイフ。ダーツ。鞭。弓矢。釣竿(笑)。
魔法    :基本的に魔法は使えない。ただし、非常にレベルが上がると、インド魔術が使えるようになるらしい。
固有スキル:「ぎじゅつ」  複数のアイテムを組み合わせて、より効力の高いアイテムを作り出すことが出来る。
        「ひそむ」   敵から姿を隠し、攻撃を逃れる。また、通常得られないような情報を探り出す事が出来る。
        「てなづける」 動物や弱った老人(笑)などを落ち着かせて、攻撃を回避する。使役することも出来る。
特殊攻撃 :バロンを呼び出す。基本的に役立たずで、言うことも聞かないが、絶体絶命の危機にある時は、想像を絶する効果がある。
レベルアップ:非常に早い。羨まない人がいないくらいである。

なんか、全滅回避要員みたい(笑)。
(2010.10.21)

【ぺりーぬじんこう】 ペリーヌ人口  [英]the number of the fans of "Perrine" [仏]le nombre de fanas de "Perrine"

(ア) 『ペリーヌ物語』に興味のある日本人の人口。96万人。自分のサイトのカウンタが気になり始めた私e_nonoがでっち上げました。推定にはシャンプー法を用いました(昔々、そういうシャンプーのCMがありましたの。ようするにテキトーな方法)。日本の人口が12000万人。アニメに興味のある人数がその1/5。世界名作劇場に興味のある人数がそのまた1/5。そして『ペリーヌ物語』に興味のある人数はまたまた1/5。うーむ、多いんだか少ないんだか。しかし、世界がわりと大変なことになっているのに、こんなことで悩んでいていいのでしょうか?

【ぺりーぬのかお】 ペリーヌの顔  [英]face of Perrine [仏]visage de Perrine

(ア) 盲目の老人の視力を回復させるほどに美人。かわいらしいから華やかな服がよいでしょうと高級婦人服店の女主人が言うほどに美人(ま、お世辞か)。しかし、本人はいたって興味なさ気です。ビルフランが「孫の顔が見たい。みんなが美人と言っている孫の顔が見たい。美人だ美人だ。見たい見たい。」と駄々をこねても、「美人じゃなくてがっかりしても知りませんよ」とそっけない。
 しかし、ファブリ曰く「僕にとっては大問題だ」あんたはきっちり働くヨロシ。
 視力の回復したビルフランによれば「生き生きとして、賢そうで、きりっとした」顔。しかし、それは美人という描写ではないような...

 アニメの設定年代から約20年後の1896年制作のカレンダー『黄道十二宮(ZODIAQUE)』アルフォンス・マリア・ミュシャ のティアラの少女に似ているよーな気がします。ちなみにミュシャはアニメのペリーヌより5歳年上ということになります。ペリーヌがヨーロッパ横断をしていた頃、彼はチェコの田舎からウィーンに出て働きつつ学びはじめたかどうかで、まだまだ無名でした。

 一体何に驚いたのか分からなくするほどフランソワーズを驚愕させたくらい、ペリーヌの顔はエドモンの幼い頃に似ていました。目の手術後のビルフランも”目さえ見えていれば会ったときにすぐエドモンの娘だと分かったはずだ”と言っています。夫を亡くしたばかりのマリはペリーヌの顔を見るたびに涙がこみ上げてどうしようもなかったのじゃないでしょうか。

(原) この子の風貌は一風変わっていて明らかに混血児、とあります。よくわからないが混血には美人が多いというので、多分美人なのでしょう(何故か投げやり)。

 ベローム先生の第一印象「あなたはこの娘が羚羊(かもしか)の眼をしていることを御存じでいらっしゃいますか?それは私は未だ羚羊というものを見たことはございませんけれど、でも確かに羚羊はあんな眼をしていると思いますわ。(旧訳)」何故カモシカ?(ナウシカとか...ご、ごほっ、ごほっ)ちなみにここで言うカモシカはgazellet(ガゼル:サバンナに生息するアンテロープ)のこと。日本語だとレイヨウ。”カモシカのような脚”のカモシカもレイヨウのこと。先生はペリーヌがすらりとして美しく、凛とした威厳がある、とでも言いたかったのでしょうかね。
 このガゼルについてアーニャさんから以下のような情報をいただきました。
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ガゼルはメンデルスゾーンの有名な歌曲「歌の翼に」に出てきます。これは、東方の理想郷をうたったハイネの詩に基づいて1836年につくられた歌曲です。歌詞中に

 かけよって耳を澄ますのは
 賢くおとなしいガゼルたち
 遠くにざわめくのは
 聖なる川(ガンジス)の波音

とあるように、ガゼルはインドを象徴するような、しかも聖なるガンジス川に似つかわしい、美しく賢い動物であるというイメージを当時のヨーロッパ人は持っていたのではないでしょうか。

  --------------------
ありがとうございました、アーニャさん

なるほど。”ペリーヌは美しく賢いインド人”とおっしゃりたかったわけですね、ベローム先生?

 ブノアのペリーヌ評
聡明です、とても聡明ですね。
...貞淑で、素直で、大胆です。目は壁でも見透しそうですが、それでいて用心と深い優しさとを持っています。
...実際見すぼらしいあの着物があの娘の美しさを浮立たせるので、いよいよ綺麗です。
...本当にあの娘には、思いやりがあるのか、それとも生まれつきの権威があるものに違いありません。

この観察眼!ブノアさん、あんた作家になれますね。ベローム先生もびっくりです。

 新訳には原書としたフラマリオン社版のH.ラノスの挿し絵が添えられています。この挿し絵の髪を後ろでまとめたペリーヌは、どことなくマリさんに似てるよーな気がします。
(2005.6.2)

【ぺりーぬのしょうらい】 ペリーヌの将来  [英]future of Perrine [仏]futur de Perrine

(ア、原) マリの予言によって幸せになるのは分かっています。問題はどのような職業に就くかです(いや、別に問題でも何でもないのですが)。

1.家庭婦人  これはなさそうです。19世紀末から20世紀初頭という激動の時代にペリーヌのような性格と地位に在った人が、ただの奥さんでいられたはずがないと思います。原作はそれを期待しているような終わり方ですが。

2.医師・看護婦  なりたいわと自分で言ってたような気が。とにかく肉親をふたりとも病気で亡くし、高等教育を受けられる機会を得たペリーヌが医療従事者への道を歩んだとしても不思議ではありません。貧乏人を厭わない”フランス版赤髭先生”と称えられるとか(髭はないでしょうが)。なんなら酒には目がないが、カンフーの達人でも可。広東語ペラペラで主題歌も自分で歌う。(おいおい!)

3.次期社長  しっかり者のペリーヌなら2度の大戦で焼け出されてもしっかりと復興させる事が出来るでしょう。それまでに社会に還元させ過ぎていなければですが(僕は反対です、おじさん!)。

4.写真家  写真興行が出来ずに結果的に母を救えなかった反動で写真にのめり込みます。社会の底辺に着目した写真集を次々と発表して、20世紀最初に名を残す写真家となるとか。

5.ジャーナリスト  ファブリさん(原作ではベローム嬢)によって社会問題に対する目を植え付けられたペリーヌは、社会の矛盾を鋭くえぐり出すレポートをバンバン発表して有名になります。と同時に当局に睨まれるようになっってしまいました。ところがナチの台頭に伴って両者の利害が一致、抵抗キャンペーンの核となって活躍します。

6.秘密工作員  普通の職業に就くには優秀過ぎるペリーヌは、ナチの占領前から地下抵抗組織またはイギリスの工作員として情報収集と後方かく乱に活躍し、戦後ジャンヌ=ダルクの再臨と称えられるとか。また2000人のユダヤ人を国外に脱出させ、死後イスラエルに銅像が建てられ、さらにハリウッドで映画化されると言う手もあります。

7.女子アナ  ナチ占領後、ロンドンにわたり亡命政府の抵抗放送の声として有名になります。それはルクリのつてによるもので、くず屋とは仮の姿、実は彼女はイギリスの工作員だったのです(ほんまかいな。だいたい生きとったら100歳超えとるんちゃうの?>ルクリ)。

8.小説家  小説家になれることはベローム先生のお墨付きもあることですし、間違いありません。いったんは家庭婦人となるものの、真に子供のために良い小説があまりにも少ないことに憤慨し自分で書き始めるとか(どこかで聞いた話だ)。ある日パーティーに着ていく衣装を探しに屋根裏部屋に上がったところ目に付いた若い頃に書いた小説を読み始めるとこれがおもしろいのなんので書き足して出版したら世界的ベストセラーに(おいおい)。そんで、発表から70年後に東洋の島国で名作アニメ化されると。とにかく自伝的小説だけで有名なのはやめてね。

9.ファッションデザイナー  ペリーヌは女工生活を過ごした経験から、機能性に優れ、それでいて優美な婦人服の必要性を感じていました。そこで彼女は、貧乏生活で鍛えた裁縫の腕を駆使して、これまでになかった職業婦人のための婦人服を作り出しました。それは女性の服装史の上で革命的な事件だったのです。んー、あとはイギリスの貴族と不倫したんだったかな?(ブランドネームは屋敷老馬の名前ね)

10.冒険旅行家 少女の頃の旅の記憶が忘れられないペリーヌは祖父の死後、家督?を従兄弟に譲って冒険の旅に出ます。中央アジアでさまよう湖ロプノールを見つけたり、敦煌をはじめてヨーロッパに紹介したりします。そんでもって旅行記を書くのね、あとでNHKが番組を作りやすいように。

11.山内一豊の妻 戦国時代の東洋の島国にタイムスリップする訳じゃなくて、夫を助けて、彼の名声や才能を開花させる名プロデューサー的妻となります。とはいえ、だんなも才能あふれる人の方がよいので、シャガールの妻ベラみたいなのが最高かも。芸術作品のなかで永遠に生きられるし。え?名もない織物技術者の妻?はっ、お話にもならねぇ。おととい来やがれってんだ。職人風情にオレの娘はやれねえよ!(はぁ?誰の娘だって?(笑))

12.悪の帝王 某巨大BBS群あたりではペリーヌの境遇についてダークな妄想に身を焦がす向きもあるようです(特に家馬車の旅あたり)。これを将来についても当てはめると…。ビルフランの死後、利害関係者によってメロドラマとエロドラマのクロスファイアを喰らって不幸のズンドコ、いやどん底に沈むペリーヌ。このような過酷な境遇は彼女の優れた特性を先鋭化させずにはいられません。「人に愛されないなら、もう人を愛する必要はない」。冷血の名の下に、ペリーヌはとことん成り上がります。BLU-82/Bのように敵も味方も薙ぎ倒し、無慈悲な女王として闇の世界に君臨するでしょう。
 それよりマシな将来としては、マロクールを追われて各地を放浪中、ふとしたことから莫大な財産を入手したペリーヌは素性を変えて仇敵への復讐を開始。後に昭和の(?)厳窟王として講談にうたわれて庶民の喝采を得ます。

 どんな職種に就くにせよ、ペリーヌは社会的に成功するのは間違いないでしょう。でも、家庭的には違うかも知れません。多感な時期に両親を相次いで失うというような苛烈な経験は、ペリーヌに癒しがたい家庭への渇きを残すのではないでしょうか。彼女の経験と信条に深い理解と共感を寄せるであろうビルフラン老が健在な間は、ペリーヌは幸福でしょう。しかしその後、自身の家庭を持つようになると微妙なものになるかも知れません。ペリーヌの家庭生活は、穴の開いた豆袋を運ぶようなもので、絶えずこぼれ続ける豆を拾い集め続けなければならないという、得るものが少ないものになるのかもしれません(すいませんね。根が暗いもので…)。ただし、ペリーヌ本人は決して不幸にはなりません。幸福とは境遇のことではなく、姿勢のことなのですから。
(2003.5.30)

【ぺりーぬのたいかく】 ペリーヌの体格  [英]physique of  Perrine [仏]physique de Perrine

(ア) ある朝、目覚めると私はペリーヌの体格が気になってしょーがない身体になっていました(笑)。そう、それは私があのスペイン靴(エスパドリーユ)を履いたときからなのです(呪いの靴かよ)。まずペリーヌの靴のサイズが気になった私は、”肘から手首までの長さがその人の足の大きさである”という謎の豆知識を生かすべく身長を計ってみました。
 ”ペリーヌの家族集合!”といった感じの設定画があります。その中のパリカールの体高を基準として計算すると、どうもペリーヌの身長は140cm弱となってしまいます(でないとエドモンが2m超となってしまう(汗))。これは当時としてもかなり小柄なような。おとうさんの甲斐性がないばかりに、栄養が足らなかったのでしょうか(涙)。で肝心の靴のサイズは22ぐらい。しかしそれ以上計算を続けるとどうも納得しかねるような数字が出てきてしまいます(肩幅30cmとか)。やはりアニメの設定画から体格を割り出すという試みは無謀なのでしょうか?(溜息)

 そこで当時の少女の体格をやや小さめにしたものをペリーヌの体格とすることに決心しました。しかしそれも資料を持ち合わせていないので、日本少女の体格変化率の1/2を欧州少女の数値に当てはめるという出鱈目ぶり。そうして生成したペリーヌの体格は以下の通り...。
 ・身長 145cm  ・体重 40kg   ・胸囲 73cm      ・胴囲 58cm     ・腰囲 80cm  
 ・座高 68cm    ・肩幅 36cm   ・靴のサイズ 22.5  ・服のサイズ 5号又はS
この体格がどうなのかについては識者(?)の御意見をお待ちします(笑)。これでもやや小柄なペリーヌなのでした。ちなみにこの数値は現在の日本ではだいたい10歳ぐらいの体格に相当します(座高と胸囲以外)。おお、栄養の20世紀は偉大なりきや。
(2003.7.18)

【ぺりーぬのたんじょうび】 ペリーヌの誕生日  [英]The birthday of Perrine [仏]L'anniversaire de Perrine

(ア) それは謎に包まれています。それらしいエピソードが見あたらないからです。一応の候補は、(たぶん)アニメでは描写されていない1〜3月頃です。3月のボスニアで「あたし13よ。あんた、いくつ?」と言っているペリーヌが、マロクールでも13才だと言ってましたから、少なくとも4〜9月頃ではないということですよね?んー。

(原) 原作ではさらに情報が乏しく、マロクールについてから1年以上経過しているのに誕生日の”た”の字も登場しません。19世紀には誕生日を祝わなかったのでしょうか。無理矢理探すと、描写が飛んでいる冬から夏あたりになりますが...

 カトリックでは一年365日の全てに聖人の祝日が定められています。それはヨーロッパの人々の生活に深く根付いており、それによって命名されることもしばしばだとか。ペリーヌと言う名が聖女ペトロネラにちなんでつけられたものなら、ペリーヌの誕生日は5月31日頃(もしくは6月15日頃)、聖ペテロなら6月29日頃(もしくは2月22日頃,あるいは11月18日頃)ということになりますが。
(2002.10.10)

【ぺりーぬのねんれい】 ペリーヌの年齢  [英]age of Perrine [仏]age de Perrine

(ア、原) Yoshi_Seさんから寄稿記事をいただきました。(ペコリ)
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 ペリーヌの年齢はマリさんの結婚年齢(14歳で結婚??)もからむ話ですが、アニメでは本人が13歳と言っており13歳ということになります。旧訳でも12,3歳としていますから、アニメがおかしいわけではありません。しかし新訳では11,2歳となっております。そこで原作のフランス語にあたってみると(家なき娘翻訳プロジェクト原文でも11、2歳となっております。(このために本屋でフランス語の辞書をみて11、12、13を覚え、家に帰ってから確認しました。フランス人が日本語の漫画を読むため日本語を勉強している気持ちがよくわかりました)すなわちペリーヌの年齢は元来11、2歳であったということになります。
 ペリーヌの年齢が11歳だとすると(マリさんが亡くなった年齢を28歳とすれば)マリさんの結婚年齢は17歳となり、まだまだ若いけれど結婚したとしてもおかしい年齢ではなくなります。これならエドモンへの非難はかなり和らぐことになると思います。

 ”なぜ津田翁は12、3歳と訳したのか”となりますが、思うに、当時の日本人にわかりやすい歳の数え方、数え年にして12、3歳としたのではないでしょうか。またアニメでも、ペリーヌがマロクールで実現したことは今の日本の子供でなら13歳でもできないことと思ったんでしょうかね。(Yoshi_Se)

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ふーむ。Yoshi_Seさんはエドモン擁護派なのですね。
....はっ!もしやファブリさんカップリング党の刺客!!(シュピーン!ドシュ!!むぐあぁぅっ !!!!)
(2003.6.12)

【ぺりーぬのふくそう】 ペリーヌの服装  [英]Perrine's dress [仏]robe de Perrine

(ア) 服装には疎いので、詳しい記述は出来ませんが、ペリーヌの標準装備はクリーム色のブラウスに赤い長いスカート、それにマリの手縫いの緋色のベスト。どこぞの民族衣装のように華やかでかわいらしい。旅の途中は主にマリが、彼女の没後はもちろんペリーヌが手直しを繰り返していました。何しろ一着しかない服だったからです。それでも辛い長旅では生地の傷みは避けられず、ブラウスは次第に変色し、ベストは後にロザリーが自分のコートの提供を申し出るほどひどい有様になってしまいました。しかし、幸か不幸かアニメでは、テオドールの言うようにひどい格好には見えません。

 秘書になったときにラシューズ夫人の店から買った服は、ロザリーが見立ててくれた衿と袖口が白い紺色のワンピースでした。

road20 その後、海外のコスプレ(といっても看護婦さん萌え〜とかじゃなくて古風な衣装ね)サイトを巡ってみたら、どうもペリーヌの服装は基本的には当時の農民や裕福でない市民では普通だったもののようですね。ただし当時としてはどちらかというと、垢抜けないというか、古くさいというか、まあ、そんな感じですか。(初期のペリーヌの衣装で唯一不自然なのは”かぶりもの”をしてないこと。この時代の女性は何かしら被ってるし。)(で、そのコスプレサイトを巡り歩いた結果、こーゆーの見つけました。 いろいろと違う点はありますが、全体のイメージとしては近いかと)
 まず、印象的な緋色のベストみたいなのは "peasant bodices" , "maiden bodices" という品名になっています。直訳すると「農民の胴着」「乙女の胴着」。"bodices"はキャンバスのような重く強い生地で作られたらしいです。中にはコルセットのような骨が入った物もあったとか。ペリーヌの胸が割と豊かそうに見えるのは、この胴着で”寄せて上げ”られているからでしょうか(笑)。どうやらペリーヌが着ているのは"english bodices"のようです。着ていない状態で裾がまっすぐなのが"english bodices"、尖っているのが"french bodices"のようです。
 赤いスカートは "peasant skirt" , "flirt skirt"とあります。直訳すると「農民のスカート」「ふらふらのスカート(笑)」。ある人によれば「フレア・スカートでは?」とのことでした。"circle skirt"ってのが分類上では一番近いのかも。広げると丸い生地になるということでしょうか?ひだも何もない素朴なスカートです。
 で"blouse"ですが、これはちょっとわからなかったです。この頃のブラウス(農民だとすぐにchemiseだったりするんですけど)はもっと筒形の衿だったりするし。農民風シミーズだと衿がないんですね。(17,18世紀ぐらいの農民風シミーズだと胸元がもっとぐあぁっと開いてたりするので、どちらかといえばそちらの方が良かっ(どがっばぎっぐしゃっ))衿とカフスがあるということなら"ladies poet shirt"(詩人のシャツ?)とか"剣士のシャツ"とかいうのに似てます。中流以上の御婦人が着ていたシミーズのような"partlets"というシャツにも似てます。もともと豊かな生活をしていたと思われるペリーヌの生い立ちを考えれば案外とこれかも。ただ、ボタン止めの女性のシャツって珍しいような気がします(当時としては)。
 この下に着てるのが御存知シミーズで、これは別項でくわしく(笑)。
 
で、下穿きとしてつけているのがドロワーズですが、これも別項でくわしく(笑)。
 ペリーヌがマロクールまでの道のりを歩いた靴は濃い茶色で足首の上まであるショートブーツつーかアンクルブーツ。紐や飾りなどのない素朴な靴で、たぶん革製でしょう。

(原) 最初ペリーヌの出で立ちは、ただもうボロのぼろぼろです。かつて黒かったらしいが何とも言えないような色になった角張ったみすぼらしい上着とぼろぼろの長いスカート。ブノアに言わせれば”乞食女の着ているのしか見たことない”ような代物だったようです。いかにも贋金使いや泥棒にしか見えないようなひどい格好だったのでしょう。

秘書になったときにラシェーズ夫人の店で買ったのは、豆模様の黒い更紗のブルーズとスカートです。最初ラシェーズ夫人は、華やかな可愛らしい服を奨めたのですが、ペリーヌは喪中だからと断っています。安いものしか買う気のないらしい客にうんざりした女店主は、サイズはやや大きいものの直せばぴったりだろうと踏んで、半ば適当に上記の服を選びました。ペリーヌも意外と気に入ったのでした。しかし、ブルトヌー夫人には散々な評判で、ペリーヌを少なからず傷つけました。
 何でも”ブルーズ”というのはフランス語で”ブラウス”のことだとか。つまり、原作では『すてきなツーピース』ですね。

 新訳での秘書服は黒の水玉のインド更紗のスカートとブラウスです。(豆模様とは水玉模様のことでしたか津田翁(泣))
(2003.8.24)

【ぺりーぬのみかく】 ペリーヌの味覚  [英]favorite food of Perrine [仏]nourriture preferee de Perrine

(ア、原) 人は幼い頃に経験した味覚の影響から終生逃れられません。それはペリーヌも同じことです。いくら欧風の食生活をしていたとて、その地の物をまったく口にしなかったなんてことはありますまい。まして母マリは地元の人間ですし。さて、幸せになったペリーヌが懐かしく思い出すのはどんな味なのでしょうか。

 ペリーヌの故郷の東インドのベンガル地方は、いまではバングラデシュという国になっています。バングラデシュの料理の特徴を調べてみると...

1.だいたいインド風で、マサラを使った煮込み料理などが多い。スープが少なめなカレー料理など。たぶんペリーヌも日本人と同じくカレー好きだったのではないでしょうか。バロンもカレーみたいな色してるし(こじつけ)。制作が数年遅れていたらハウスから「ペリーヌの幸せの涙カレー」なんてのが発売されてたはずです。秀樹も感激です。意識が朦朧として森の中に入って行きそうになるほど辛くて、村を見下ろす丘の上でおじいさまとくるくる踊り続けるほどおいしいのです。

2.ベンガル地方では米やダール(豆類)、魚を好んで食べます。干した魚のカレーなんてのがあるそうです。これはお隣のビルマ(ミャンマー)の影響を受けたものだとか。

 ペリーヌが3歳頃、父エドモンの事業が破綻して一家はチベット国境に近いデラという町に移ります。さっそくチベット料理について調べてみました。

1.チベットでは肉を多食します。寒冷高地で多くのエネルギーを必要とするためだろうということです。野菜も種類が少なく、魚類は高級品です。パンだけが続く旅の食事は、ペリーヌには結構辛かったのかもしれませんね。

2.最もチベットらしいチベット料理はツァンバというものらしいです。大麦こがし粉を水や茶、ミルクなどで練り、塩やバター、砂糖で味を付けたものだとか。いかにも遊牧民らしい食事で、ペリーヌたちも火のおこせない雨天の家馬車の中ではこういうのを頬張っていたのかもしれません。

3.餃子や肉まんの原型のようなモモという蒸し料理やうどんのようなものの入った汁物トゥッパが有名のようです。しかし、餃子をつまみつつ、うどんをすするペリーヌを想像するのは、精神的にちょっと辛過ぎます。そこで

 「ペリーヌお嬢様は魚のカレーが懐かしい」に決定!

 原作では、ペリーヌはシャンティイの森で死にかけたとき、ミルク入りチョコレートを作って待っている天国のマリの幻を見た、とルクリおばさんに語っています。だから、これに従うと、ペリーヌが思い出すのは”おかあさんの作ってくれたココア”ということになります。

【ぺりーぬのもんしょう】 ペリーヌの紋章  [英]arms of Perrine [仏]crête de Perrine

arms めでたくパンダボワヌ家の一員となったペリーヌには、紋章が与えられたはずです。パンダボワヌ家のような大富豪ともなれば当然紋章を持っていたでしょうし、ペリーヌはその全財産の唯一の相続人なのですから。で、それはどんなものだったのかというと、全然わかりましぇ〜ん。そのままだとネタにならないので、作ってみました。はははははは(でも、設定にあるとか、実際画面に登場しているとかだったら、とんだお笑いぐさですね)。
 右のがそれで、小紋章という形式です。左上と右下がエドモン、残りがマリさんから受け継いだものです。エドモンの部分に白い変なもの(笑)が3つありますが、これはくだ巻のつもりです。金の山形は工場、地の赤い色は高潔を表します。マリさんパートの地色の緑は母親譲りのサリーの色で愛を象徴します。車輪は欧州では運命を表しますが、同時にインドでは輪廻を表します(インド国旗に見られるのは24本スポークのチャルカという糸車らしいです)。金色は信仰心。この部分はマリさんのインドの血を表したつもりです。左下はマリさんのもう一方の血筋を表し、白地に赤十字はイングランドの旗です。
 私に絵心があれば他のアクセサリーを付けて大紋章をお見せ出来たのですが。楯の左にロバ(パリカール)、右に犬(バロン)のサポータを配置、楯の上には侯爵夫人にもらった帽子を配置、背景には葦の束、楯の下には「人に愛されるには、まず自分が人を愛さなくてはならない」とラテン語で書かれたスクロールを置く、と。

 とまあ、なんか講釈たれてますが、この紋章が規則に則ったちゃんとした紋章かどうかはかなりアヤシイものです。ちゃんとしたことが知りたい方はこちらでどうぞ。(西洋紋章学事典さまへごあんな〜い!)
(2002.8.31)

【ぺりーぬはどのていどのひんどでおふろにはいったか】 ペリーヌはどの程度の頻度でお風呂に入ったか
  
    [英]How much was the bathing interval of Perrine? [仏]Combien coutait l'intervalle se baignant de Perrine?

(ア、原) 長年人々を悩ませてきたこの問題には、残念ながら、明確な答えはありません。ただ完璧少女ペリーヌならばどんなときでも機会をとらえてこまめに入浴していたはず、との見方が一般的です。しかし、これは湿度の高い風土で形成された日本人の気質と、非現実的な無菌状態を望む最近の神経症的な傾向を反映したもので、19世紀のフランス人少女には当てはまらないような気がします(聞いたところでは、日本人の約70%は毎日入浴しているのだとか。へえ〜。余程身体が汚れているんですね(違うって(笑)))。

 たとえば水辺にあった狩猟小屋生活の間についてでも「せいぜい1週間に1度か2度、濡れタオルで体を拭いた程度」ではなかったかと思います。
理由としては
 1.フランスの乾燥した気候 
 2.フランス人はお風呂嫌い 
 3.当時の生活水準 
 4.長い旅の生活に馴染んでいる 
といったところで、原作の環境ではさらに 
 5.防犯上の懸念 
もあったでしょう。入浴頻度を上げなくてはならないとペリーヌが合理的に考えたような理由が思いつかないです。毎朝洗顔を欠かさず、こまめに下着洗濯していれば「女工にしては清潔な娘」と評判になったんじゃないですかね。

 とりあえず、ペリーヌに言わせれば余計なお世話ですね(笑)

 中世ヨーロッパでは”身体を清潔を保つ”ということは”下着を替える”ということを意味していたようです。お風呂が普及していなかったのですね。公衆浴場はいかがわしい場所だったみたいだし。もっともペリーヌは中世の人間ではないので、だからどうしたというものではないですが。ちなみに歴史的・世界的に言って”お風呂”というと”蒸し風呂”つまりサウナのようなものが普通のようですね。
(2003.1.25)

ぺりーぬものがたり ペリーヌものがたり  [英]The story of Perrine [仏]L'histoire de Perrine

(ア) 『ペリーヌ物語』のOP主題歌。ルンルンの語源もしくは世間に広めた歌として有名な(?)この歌は、物語のあらすじをなぞるように歌っています。一番は家馬車での生活の画面に流れ(おそらく)父の死直後の春、二番はマロクールでのの生活をバックに秋の(たぶん)秘書になる直前あたりを歌っています。OPでは流れない三番は冬でビルフラン屋敷に移ってからを”幸福がここに”と結んでいます。

【ぺりーぬものがたり】 ペリーヌ物語  [英]Perrine of "En Famille" [仏]Perrine de "En Famille"

(ア) 1978年日本アニメーション制作の傑作アニメ。フランスの小説家エクトル・マロの1893年の作品「En famille」(邦題:家なき娘)を原作に、父エドモンの死後ボスニアからパリまでの旅の様子を追加してアニメ化しました。

 まだ見ぬ祖父ビルフランのすむフランスを目指して、主人公の少女ペリーヌは両親を失うような苦しい旅を続けました。自分が必ずしも歓迎されないと知った彼女は、ようやく辿り着いたマロクール祖父の工場で働きながら自分の孫とは知らないビルフランのために心を込めて尽くします。”人に愛されるためには、まず自分が人を愛さなければならない”。母マリ最後の言葉を信じて。

 あるいは、己の頑迷さから愛と光を失った老人が、無垢な少女の献身によって魂の救済を得る物語。

 または、英語が話せれば幸せになれるという、日本人向けの教訓。
(2002.9.1)

【ぺりーぬをうらなう】 ペリーヌを占う  [英]divining Perrine [仏]Perrine devinant

 《西洋占星術》 e_nono的情報(よーするにあやふやな情報)を総合すると、ペリーヌの誕生日は、原作では1877年5月31日(もしくは6月15日)誕生地はダッカです。これで占おうとしました。「アストロロギア」というソフトを用いたのですが、誕生時が分からないと正確なところは分からないのです。しかもこんな古い時点には対応していないので基本的な性格しか分かりません。うむむむむ。
双子座の特徴として二面性を持つ。熱しやすく冷めやすい。気まぐれ。臨機応変な対応がとれる。清らかな優しさと冷静さ。知的好奇心旺盛。おしゃべりで弁舌さわやか。
 加えて...(誕生時が必要な部分。いいとこ取りしました(笑))
芸術的分野に適性。恋愛観も進歩的。風変わりな人物に惹かれやすい。物事を平和的に変革してゆくことができる。(5月31日生)
「積極的で野心的だが、品位があり、正々堂々と物事に立ち向かう。ロマンスに関しては発展家。情熱的な恋愛によって生き生きと輝く。しばしば挫折を味わうが、逆境がかえってエネルギーのみなもととなる。」(6月15日生)
 どうも泥縄式では、いまいちの結果しか得られないようですね。

 《姓名判断》 姓名判断のサイトを見つけました。 さっそくペリーヌを占ってみました。
熱心な労働者で、忍耐力と独立心に富む論理的な人。ただし、大きな野心は望めぬであろう。家族に対する愛情表現が豊かでないからである。腸が弱いので、成長に難あり、グラマーにはならないであろう。目耳鼻及び歯の疾病に悩まされるかも知れない。≪e_nonoによる超訳≫ 
 む、無念じゃ(何がよ(笑))
(2002.10.10)

【べろーむ】 ベローム  [仏]Belhomme

(原) オーレリィ(ペリーヌ)が、正規な学校教育を受けておらず、特にフランス語の文法が不得手だと知ったビルフランが手配した家庭教師。アミアンにもいないような、つまりこのあたりで一番の教師。40には届いていないが、威厳を持った女学校の初等部の先生。でもちょっと大げさな言い方をする御婦人のようです。ビルフランより背も肩幅も大きいという堂々たる体格で、氏曰く”鬼のような威容”(ちょっとあんまり(笑))。ペリーヌの聡明さにふれ、たちまちファンになります。ペリーヌにとってはマロクールとビルフランに関する重要な情報源。ペリーヌは彼女からブルトヌー夫人に関する忠告やマロクールの現状に関する示唆を受けました。後にはビルフランに請われて氏の5つの保育所の総監督となります。

 新訳には挿し絵がついているのですが、ベローム嬢についてはあまりにもおばさん過ぎます。ちょっといかつすぎ(笑)

 アニメには登場しませんが、彼女の親ペリーヌ的立場や社会派な視点はファブリさんに受け継がれています。
 ...かと思ったら、shockerさんによればペリーヌ物語資料集には保育園の先生として登場しているそうです。顔も厳つくないです。
(2003.6.22)

【べんでぃっと】 ベンディット  [英]Bendit

(ア) ビルフランの英語通訳兼秘書。ファブリと同じ下宿に住み、同様にシャモニーの常連。彼が肺炎に倒れたことで、結果的にオーレリィ(ペリーヌ)は秘書の仕事とファブリという相談相手を得ることになりました。

(原) 外国通信係の社員で、英語やドイツ語の翻訳をしています。イギリス人。発音がまずいと”バンデッィト(盗賊)”に聞こえてしまうので怒られます。日曜日には25ヶ国語で書かれた「主の祈り」を読むのが趣味。イギリス人らしく常に合理的な考え方をする、とあります。これまで一度も人に感謝というものをしたことがない、ともあります(作者のイギリス人に対する偏見もしくは当て付け?)。最初ペリーヌが執務していたのは、ベンディットさんの部屋です。ファブリさんやモンブルーと同じくフランソワーズ社員寮の店子。新訳での表記は「バンディ」。

 ベンディットさんのかかった病気は腸チフス。腸チフスにかかると、40度ほどの高熱が2週間も続いて、患者は錯乱したり恍惚状態となったりするようです。ペリーヌのディナーに招待されたロザリーが”(ベンディットさんは)今はもう頭が変だから、翻訳の方はさっぱり”というのはこのこと。腸チフスは糞尿が混ざるような不衛生な水や食品から感染します。つまり、それだけフランソワーズの下宿が不衛生だったということです。アニメでそのまま登場させるとシャモニーの料理は魂どころか●●●がこもっていることになってしまうので当然ペケですね。
(2002.9.22)

【ぼうし】 帽子  [英]hat [仏]chapeau

(ア) 亡きの言を守って遠くマロクールに向かおうとするペリーヌ侯爵夫人の贈ってくれた餞別がわりの帽子。決して裕福ではないカロリーヌさんにとってはかなり思い切ったプレゼント。それどころか街角で立ち仕事する彼女にとっては帽子は必需品だったはず。砂漠ではないけれど人をも殺せる暑さのフランスでは帽子は欠かせないでしょう。熱射病などを想定すれば帽子などの日除けは決して馬鹿には出来ないのです。もし帽子を被っていなければ疲れ果てたペリーヌの体力はルクリおばさんと遭遇するまで持たなかったかも知れません。そう考えると、侯爵夫人もペリーヌの命の恩人のひとりと言えますね。
 ところでこの帽子、何という帽子なのでしょう?帽子のてっぺんが平らで、つばのそれほど大きくない帽子。ペリーヌの旅が進むにつれてだんだんクタクタになる点と、色が薄紫ぽい白ということからして布製、たぶんフエルト製なのでしょう。十九世紀末にあった似たような帽子となるとポークパイ・ハットpork-pie hatあたりが似てます。まあ名前がナニですが(笑。そのままズバリ、ポークパイに似てるからだとか)。でなければ布製のcanotierかな?(←いわゆるカンカン帽)どちらにしてもこの時代、失礼ながら若くない御婦人は普通ボンネットを被っていたそうですから、侯爵夫人はなかなかの洒落者だったことになりますね。
(2004.6.12)

【ほうせき】 宝石  [英]jewelry [仏]bijoux

(ア) エドモンマリに残した宝石。たぶんサファイヤ。病に伏せっている間に所持金が無くなった事に気づいたマリが売って217フランというお金を作りました。同時に自分の病気がすぐには快復しないと知った彼女は旅を急ぐようにペリーヌに言うのでした。

 たぶん、ペリーヌにとってこの頃が一番辛かったのではないでしょうか。父は病で死にました。母の病も重い。母の病を救うにはお金がいります。お金を稼ぐ方法はあるし、自分でも出来ます(と思っている)。しかし、自分が子供であるという理由で人から信用されず、お金が入手できません。宿賃を催促する宿の主人には苦しい言い訳をして逃げるように離れ、母には安心させるために笑顔で嘘をつかなくてはなりません。離れた村に出かけても、写真を撮らせてくれる人はなく、おまけに雨まで降り出してしまいます。これでペリーヌが犯罪者にならなくて済んだのは、ひとえにおかあさんの決意のおかげです。

 客の反応から”自分で写真見本を撮ればいいのに”と思った人も多かったはず。さすがに利発なペリーヌもかなりパニクっていて、そこまで頭が回らなかったのでしょう。

 その後shockerさんから”この宝石について、ペリーヌ物語資料集にはエメラルドとの記述があります”との情報がありました。なるほど、そうでしたか。そういえば、インドは昔エメラルドの産地だったそうです。エメラルドといえばレオ...じゃなくて5月の誕生石。してみるとマリさんは5月生まれなのかも知れませんね。
(2003.3.27)

【ぼうとび】 棒飛び  [英]stick jump [仏]saut de baton?

(原) たまにTVの世界の話題などでオランダあたりの祭りか何かでやっています。アニメではOPに飛び損なってに落ちるシーンがあるだけですが、原作では防犯上島に橋を架けなかったので、ペリーヌは島の出入りに毎回棒飛びをしていました。このことをお呼ばれにきたロザリーに説明するくだりは、なんとなく自慢げです。

 新訳上巻の裏表紙にはこの絵があります。

 上で触れている”オランダ辺りでやっている棒飛び”というのは、フィーエルヤッペン(Fierljeppen:英語ではカナルジャンプ、つまり運河飛び)というスポーツらしいです。元々は運河で水鳥の卵を集めるときにおこなっていた運河渡りが、18世紀頃にスポーツ化したものだとか。驚いたことに(てゆーか驚いてるのはあんただけ)この棒飛び発祥の地?と言われているのがオランダ北部のフリースランド。そう、その昔、聖ビルフランの活躍した地なのです。
(2002.9.10)

【ほおき】 箒  [英]broom [仏]balai

(ア、原) オーレリィ(ペリーヌ)の手作りシリーズ第一号。アニメではに生えていた柳の枝を束ねたもの。原作では樺の小枝を束ねた(竹箒みたいな感じ?)。人の住まない狩猟小屋を清潔にするために活躍しました。
 ところでペリーヌの命名の元になったのかも知れない聖女ペトロネラのエンブレムは箒です。あ、それでペリーヌは何はさておき箒を作ったのですね(って、それは考えすぎ)。

【ぽーる】 ポール  [仏]Paul

(ア) ミラクル大作戦はしない、ロザリーの弟。原作には登場しません。学校に通っています。オーレリィ(ペリーヌ)がマロクールにやって来るまではボールが友達だった?最初に見たとき”変な顔しているなあ”と言ったバロンが大好きです。しかし、犬を飼いたいが許されないようです。父親のセザールがバロンを見たときに”ずいぶん贅沢だな”とペリーヌに言っているような理由からでしょうか。ペリーヌが秘書になり下宿に入ったときにはバロンに犬小屋を作ってやりました。たぶんペリーヌがビルフラン邸に入ったことを寂しく思ったのはロザリー以上だったでしょう。ペリーヌのクリスマスプレゼントは長靴と手袋。ひとりだけプレゼントがふたつなのは”もうひとつはバロンから”といったところでしょうか。

【ぽぷら】 ポプラ  [英]poplar [仏]peuplier

(ア) マロクールに向けて一人旅を続けるペリーヌ。折からの晴天続きで、灼熱の太陽が容赦なく照りつけます。彼女は疲労と空腹と渇きでへとへとです。そのとき遠くにポプラの並木が見えました。ポフラがあんな風に並んでいるところには川があるわ!喜んでバロンと共に駆け出すペリーヌ。ようやく並木に辿り着いたペリーヌが見たのは、しかし土埃の立つ水の枯れた川でした。
 ポプラはヤナギの類で、ペリーヌの言うように本来は川の土手などに生えていたもののようです。花言葉は”嘆き”。いやもう本当に嘆いてましたね。
(2002.9.22)

【ぼんてんぺるりふじん】 ボンテンペルリ夫人  [伊]Signora di Bontenpelli

(ア) アンナ・ボンテンペルリ。トリエステのとある”お偉方”の奥方。偶然見かけたペリーヌを6年前に行方不明になった愛娘ジーナと思い込みます。おかげで、母娘は当局に連行されることになってしまいました。誤解の解けた後、悲しみに沈む夫人を慰めるために、ペリーヌは自分の写真(撮影見本)を渡して街を後にしました。この行為もマリの教育の賜物だったのでしょうか。

 彼女の暮らすトリエステは、自由貿易で大いに栄えた港湾都市です。経済的・軍事的要衝であったため、しばしば周辺諸国のブン捕り合いの舞台となりました。物語の当時はオーストリア=ハンガリー帝国領でした。
(2010.10.17)

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