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yuri  Espadrille  yuri

 『エスパドリーユ』。
 その名を知ったのはいつのことだったのでしょうか?たぶん、私がこのサイトを開いた後。おそらく、偕成社文庫から二宮フサ訳の「家なき娘」が出た後でしょう。なんとなればその上巻、ペリーヌが靴を作るところにその名が出ているからです。ペリーヌ物語ファンならまず知らぬ者のいないほど印象深いエピソードに彼女がスペイン靴を作るという話があります(第30話『自分の力で』 別の意味でも有名だったりしますが(笑))。このスペイン靴の本来の名前がエスパドリーユだと言うことなのです。

 そもそもコアなファンの間では”実際にスペイン靴を作ろう!”という運動(?)が脈々と受け継がれてきているようでした。ですが、階段を登っている途中で「はて?次に出すのは右足だったか?左足だったか?」わからなくなってコケそうになることが時々あるほど不器用な私にとって、それはドダイ関係のない話でした。しかし、品名がわかれば話は別。関連サイトのハシクレとしては入手せねばならぬ!(んなことはないと思いますがね)

 検索してみるとエスパドリーユは婦人用のリゾート・サンダルのようでした。早い話が”おっしゃれーなツッカケ”。そのせいかどうか”脳髄がバカンス〜”みたいなとれびやーんなデザインのものばかりで全然イメージが違うのでした。シンプルな物があったとしてもヒールが高かったり、紐が付いていなかったりしました。結局、いともあっさりと私の野望は行き詰まってしまったのでした。

 ほどなくして...。着々と自作スペイン靴の準備をしていたばろんさんが資料としてエスパドリーユを入手したとの風の噂が。おのーれと嫉妬の炎を燃やした挙げ句に”どこか買えるところを教えて!”と直訴。そしたらエスパドリーユ専門の通販サイトを教えてくれたのでした!(多謝です、ばろんさん)考えてみると間抜けなことに私は日本語でしか検索していなかったのでした。

 このESPADRILLESETC.COMを見てはじめて紳士用もあることを知ったわけですが(元々は船員の作業靴ですから、紳士用があって当然)、やはり婦人用が豊富な品揃えがありますなあ。で、ついにシンプルかつ紐付きのものを発見。ヒールも高くないし、イメージもバッチリ(死語)。最初はまず見てみるだけ、のつもりがイキナリ注文してしまったのでした。しかも婦人靴コーナーから(笑)靴が25ユーロ程で送料諸経費も25ユーロ程。3日で届くとのことでした。つーかそんなに近かったのかよ>スペイン!まさか三重県か?(それは違う
 もしかして「私も買いたい!」という人がいるかも知れないので、ここでワンポイント・アドバイス。日本の靴のサイズ表示と外国のとでは、表現が違います。日本のが『その靴を履く足の大きさ』を表しているのに対し、外国のは『その靴の大きさ』を表していると言うことです。日本の靴のサイズに大体+2cmたしたぐらいが靴の大きさです。24.5の私は靴の大きさが25cm強のサイズ8を注文したのですが、後述するようにちょっと小さかったです。

 さて、3日後に届くとなればその間私は何をなすべきか?賢明なあなたなら想像がついたでしょう。そう。私は猛然とスネ毛を剃ることを決意したのでした!30話、靴を完成させたペリーヌが踊るように小屋から出てきて、脚をすうーっと池の岸に降ろすシーン。印象的な場面でしたね?!ここで重要なことは水色のリボンに結ばれたスペイン靴を履いたペリーヌの足は、この世の終わりのようなスネ毛に被われていなかったということです!!(当たり前じゃ!ボケ!!!)というわけで、見えない運命に導かれるように私はスネ毛を剃ることになったのでした。(そうか?そういうものなのか??)

 お風呂に入って心を静めた後、特売のシェービング・ジェルをぬりぬりっと両足に塗ります。このジェルには溶剤と爽快成分が含まれているせいか、足が「ひか〜」としてきます。で、やはり安売りの安全剃刀でウムを言わさずスネ毛をずんずん剃っていきます。しかし、生まれてこのかた剃られたことのない原初のスネ毛はあっぱれ手強く、一度だけではきれいに剃ることが出来ませんでした。それでまたぬーりぬりとジェルを塗って剃るわけです。そんなことをやってるウチになんとな〜くたのしくなってきて、もし今ここに永遠に果てしなく毛深い足があったならトコシエにしあわせでいられるのだろうか、などとワケの分からないことを考えながら黙々とスネ毛を剃る2003年7月、梅雨空の宵は更けゆくのでした。

 そして、時はキターーーーーーーー!
 黒猫さんがUPSをくわえてきました。差出人は「シューマッハ」さん。どーりで早く着いたわけだ(笑)。何だかドキドキして包みを開ける。は?ぺしゃんこになったズックみたいなのとそのズック袋が入ってました。何か拍子抜け〜。なにせ単なる帆布なので脱ぐと形が無くなってしまいます。気を取り直して撮影だ〜!

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 これがエスパドリーユだッ!
 なんか看護婦さんの靴に紐をつけただけみたい(笑)。

 アニメのと異なる点がいくつか。

.紐の色。わかっていたけど返す返すも残念。

.紐の付け方。アニメでは縫い付けだけど、これは穴を通しているだけ。つまりアニメでは紐は2本ですが、これは1本です。靴の縁をぐるーっと巡って紐を通してあります。

.紐の取り付け位置。アニメではほぼ靴の中央に着いていましたが、実物ではやや踵側から紐が出ています。
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 靴底。縄をぐるぐる巻きにした様子がよくわかります。ゴムのライニングがしてありますが、19世紀はそうではなかったのでしょうね。

 大体、滑りやすい場所でのくいつきをよくするためにはもっと縄目が露出してないといかんでしょうに。

e3_0.jpg  靴底を横から見たとこ。縄を巻き付けたものをほぐれないように縫い付けてあります。そしてその上に甲の部分を縫い付けてあります。

 しかし、つくりが素朴というか雑というか...。右足でも左足でも履けるし。
 ペリーヌが実物を見たことがあるとしたら、ウロ憶えでも
「私でも出来る」
と思ったのはうなずけます。
e4_0.jpg  縄を巻いたのを同じ繊維で縫い止めてあるわけですが、ゆるく止めてあるだけです。これ見てると草鞋がいかにしっかりした作りをしているか痛感しますね。日本万歳!
e5_0.jpg  んで、履いたとこ(笑)ぱんぱん(爆)30分も履いていると、血が流れないのか、足が痺れてきます(笑)。

 紐が甲をぐるりと巡っていることに注目。アニメのように紐が中央に縫い付けてあるだけでは、たぶんトロッコ押しのような重筋作業には耐えられなかったと思われます。

 骨太い足首にも注目(哀)。スネ毛は剃れても骨までは削れぬ。
e7_0.jpg  やはりアニメのような水色のリボンにしたくて探し回った挙げ句に100円ショップでリボンを見つけて購入。巾があと2mm太ければよかったのに(12mm x 5m)。どうしてもなければ紙テープで間に合わせるつもりでした。

 でつけてみました。やはり元手がかかっていないからか、安っぽいテカリが(泣)。アセテートではだめなんすかねえ。

 あー、リボンは布用接着剤で付けました(裾あげとかに使う奴)。

 さて。
 賢明な諸氏は推察されているでしょうが、この紐つきエスパドリーユは履くとめちゃくちゃ可愛らしい靴です。思わず自分の足に”ちう”しそうになったくらいです(嘘800%)。とてもバスクの無骨な漁師が開発したとは思えません。特に足首の細い少女が履いた場合にはそりゃーもー想像を絶するかわいさかと推測されます。パンダボワヌ工場でのペリーヌはそーとー目立ったに違いないです。ええ、奥さん。

 

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